医療と社会
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財団研究論文
医療技術評価(HTA)の政策立案への活用可能性(前編)
冨田 奈穂子井上 幸恵池田 俊也
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キーワード: 医療技術評価, 韓国, タイ
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2011 年 21 巻 2 号 p. 163-174

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抄録

医療技術評価(Health Technology Assessment:HTA)とは,個々の医療技術の臨床効果,経済評価,社会的影響などを多面的に検討する研究領域である。多くの国々ではHTAに関する公的あるいは民間の研究機関があり,HTA研究が医薬品や医療材料等の保険償還の可否の判断等の政策立案や,診療ガイドライン等の臨床判断に用いられている。本稿(前編)では,アジアにおいてHTAの導入が進んでいる韓国とタイについて,その概要を紹介した。
韓国の健康保険審査評価院(HIRA)は医療機関から提出される診療報酬明細書を審査し,医療の質を評価するために設立された機関であり,2007年より医薬品の保険償還可否を判断するために薬剤のHTAも実施している。また,韓国保健医療研究院(NECA)は,システマティック・レビューや経済性評価を用いたHTA等を実施する機関として,2008年に設立された。タイでは2007年に医療介入技術評価プログラム(HITAP)が創設され,薬剤,医療材料,医療行為,個人対象あるいは集団対象の健康増進・予防技術など,幅広い医療技術について評価を行うこととしている。しかし実際には,新薬の保険償還の判断に対しては,優先順位の高いもののみを選んで医療経済評価を実施している状況である。

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© 2011 公益財団法人 医療科学研究所
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