医療と社会
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特集論文
国内製薬企業の新たなビジネスモデル
志村 裕久桝田 祥子木村 廣道
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2011 年 21 巻 1 号 p. 17-32

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抄録

製薬業界は,大型製品の特許満了,研究開発の遅れ,新規上市品目数の減少,後発医薬品の市場浸透,薬価制度の変更と,近年,急速に事業環境が大きく変化しており,新たなビジネスモデルの確立が必要となってきている。これらの問題に対しての打開策として,海外大手製薬企業は,他社との経営統合,新興諸国市場への進出,後発医薬品事業の展開など,新しいビジネスモデルの構築を行っており,一方,自社開発製品の海外展開により成長してきた国内大手製薬企業は,海外企業の買収等を行うことで,打開策を模索している。国内では,海外に比べ遅れていた後発医薬品の使用促進が国の主導のもと行われており,国内事業に特化している新薬開発型製薬企業にとっては,製品の特許満了後の後発医薬品へのシフトによる減収リスクが大きくなってきており,収益を長期収載品に依存するビジネスモデルの変革を余儀なくされている。このように,事業環境の変化に対応すべく,近年,製薬企業が取っている動きの大きなポイントとなるものは,1)医薬品兼業企業による経営統合,2)新興諸国への取組み強化,3)後発医薬品の取組み強化,4)企業買収による海外展開に分けられる。今後のジネスモデルの確立と成功が待たれる。

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