2011 年 21 巻 2 号 p. 205-219
本稿の目的は,企業分析や戦略分析のための手法を提供することにある。とりわけ,企業の外部資源の利用に関する考察のためのものである。アウトソーシングや戦略的提携など,企業の外部資源を利用した競争優位の確立が議論されている。しかしながら,企業の外部資源の利用の程度やその効果についての実証的な研究は少ないと思われる。
そのような実証研究に向けて,本稿では,数量と売上2つのデータを用いることから出発して,具体的に日本の医薬品産業を用いて,外部資源の利用に関する分析を行う。本稿の手法や各数値を用いることによって,企業の外部資源の利用や組織間関係,それに伴う企業の変化といった実態をより審らかにすることが可能になり,この分野での議論に様々な貢献をすることになると考えられる。