医療と社会
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特集論文
公的情報を用いたドラッグラグの分析
辻 香織
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2011 年 21 巻 1 号 p. 5-16

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抄録

ある国では使用可能な医薬品が他国では使用できない,あるいは使用できるまでに時間がかかるという「ドラッグラグ」が問題となっている。筆者は,米国,EUおよび日本において1999年から2007年の間に承認を取得した新有効成分含有医薬品(以下,新医薬品)398薬剤を対象とし,各地域におけるドラッグラグの現状について比較分析を行った。本研究では,承認年月日などの基本情報のデータソースを各地域の規制当局による公開情報に求めている。本稿では,事例として本研究を紹介しながら,公的情報の有用性と限界について解説を試みた。
公的情報を用いた研究は,データが無料で得られるというメリットがあり,データの網羅性,信頼性,完全性が高い。一方,必要な情報をもれなく収集するためには相当な時間と労力を要し,得られるデータには一定の限界がある。しかし,公的情報を活用し,商用データベースなどによる補完を行うことにより,十分に完全性の高いデータベースを構築し,地域間の公平な比較が可能であることを示すことができた。

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© 2011 公益財団法人 医療科学研究所
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