日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
肺転移・胸膜炎を合併した背部軟部組織原発の類上皮血管内皮腫の1例
石川 将史川上 賢三木曾 末厘乃
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2008 年 22 巻 4 号 p. 713-719

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抄録

症例は60歳女性.2002年5月頃より右背部痛を自覚.精査にて第3-5胸椎右側の躯幹直立筋内および右肺上葉に腫瘍陰影を認めた.背部腫瘍の生検では確定診断が得られず,右肺の腫瘍は肺癌が疑われ同年11月 右上葉切除・リンパ節郭清術を施行.針生検による術中迅速病理診断では腺癌との報告であったが,永久病理標本では類上皮血管内皮腫(Epithelioid Hemangioendothelioma)との診断であった.その後背部腫瘍が増大し,2003年6月胸膜炎を発症.胸水細胞診陽性であった.背部腫瘍の再生検でEHEと診断され,肺の腫瘍は転移と考えられた.同年8月髄膜炎症状を呈して死亡した.EHEは特殊な形態を呈する血管内皮細胞由来の境界悪性の腫瘍である.多彩な病態と興味深い経過を辿った軟部組織原発のEHEの1例を報告する.

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