日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
右側大動脈弓を伴った右肺癌の2手術例
末久 弘小森 栄作澤田 茂樹山下 素弘
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2009 年 23 巻 1 号 p. 39-44

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抄録

右側大動脈弓は発生頻度約0.1%とされる稀な先天性奇形である.右肺癌に伴った2例を経験したので,若干の文献的考察を交えて報告する.症例1は61歳,男性.検診の画像診断を契機に右肺癌と診断された.症例2は69歳,男性.胃癌術後のフォローアップ中に右肺癌を疑われた.2例とも心奇形は認めず,左鎖骨下動脈が下行大動脈から分岐するStewart-Edwardsらの分類type Bに相当した.症例1はさらにKommerell憩室を伴っていた.肺の気管支,動静脈は正常に分岐しており,型どおりの肺葉切除を施行し得た.発生学的には,右反回神経は右側大動脈弓を反回するので,術中の確認を要する.また,大動脈弓や下行大動脈が妨げとなり上縦隔リンパ節郭清操作が困難であるが,標準左側肺癌に準じた上縦隔リンパ節郭清を慎重に行うことで対処できると考えられる.

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