日本呼吸器外科学会雑誌
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原著
術後気管支瘻9例の治療成績
森山 重治山本 寛斉三好 健太郎
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2009 年 23 巻 6 号 p. 792-797

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抄録

1995年1月から2007年12月までに当科で経験した術後気管支瘻9例の患者背景,治療方法,予後について検討した.年齢は58~73歳(平均67.4歳)で,全例が男性であった.原疾患は1例が荒無肺,他の8例は原発性肺癌であった.発生率は全症例では1.3%であったが,特に右下葉切除は他の肺葉切除に比して有意に発生頻度が高く(p<0.001),気管支動脈中枢での切断が誘因の一つと考えられた.気管支瘻発症時期は術後2~3週間前後が9例中7例を占めていた.気管支鏡的塞栓療法が奏功した1例を除いて,初回手術で有茎大網弁被覆を行った症例は4例とも一度の手術で閉鎖に成功しており,他の4例中3例は最終的に有茎大網弁充填または被覆が有効であった.1例は閉鎖が不成功に終わった.術後4例がMRSA肺炎を併発し,1例は保菌のまま回復したが3例を成人呼吸窮迫症候群(ARDS)で失った.

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