日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
右肺摘除術後気管支瘻に対し大網楔入充填術で瘻孔閉鎖した2例
松浦 求樹藤原 俊哉片岡 和彦妹尾 紀具
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2009 年 23 巻 6 号 p. 838-842

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抄録

肺摘除術後の気管支瘻は致命的になりうる合併症であり,早急かつ適切な処置が必要とされる.今回我々は右肺摘除後の気管支瘻に対し,大網を楔入充填することで瘻孔閉鎖に成功した2例を経験したので報告する.症例1は78歳,男性,右主気管支から中間幹に広く浸潤するpleomorphic carcinomaでsleeve pneumonectomyを施行した.術後16日目に吻合部縫合不全のため瘻孔大網楔入充填術を行った.症例2は59歳,男性,扁平上皮癌で体外循環下に左房合併切除を伴う右肺摘除術を施行した.外来化学療法中に膿胸を併発し,気管支断端瘻となったため,術後8ヵ月で同様の手術を行った.気管支瘻の断端や瘻孔周囲は,すでに血流障害に陥っているため,一期的縫合閉鎖では気管支瘻が再発しやすい.抗炎症作用に優れ局所の血流を改善させる大網を瘻孔に直接楔入充填するこの方法は,手技が容易で大変有用であった.

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