2007 年 38 巻 1 号 p. 1-12
pH 7.0の中性域でスチレンを除去できる菌株を一次スクリーニングしその中からpH 4.0でもスチレン分解能を失わないスチレン分解菌Pseudomonas sp. No. 14を取得した.この菌株の密閉フラスコバッチ実験におけるスチレン除去速度は,1.95×10-8μmol/h/cell(pH 5.5),1.81×10-8μmol/h/cell(pH 7.0)とpHが低くても中性付近と同様の除去を示した.この菌株をバイオフィルターに適用したところ,完全除去容量は高濃度スチレン分解菌として取得したPseudomonas sp SR-5株の192g/m3/hの結果と比べると,中性付近では低いスチレン除去能であったが,SR-5株のスチレン除去活性がほとんどなくなるpH 3.0近くでも150g/m3/hという高い除去能と1011cfu/g-dry packing materialの高い菌濃度を維持していた.バイオフィルターは負荷が高くなるとスチレン代謝中間体の蓄積でpHが低くなることからNo. 14株は安定したスチレン除去バイオフィルターの設計に適用できるものと思われる.