日本気管食道科学会会報
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原著
一側声帯麻痺症例に対するFDG-PETによる喉頭集積の検討
二村 吉継東川 雅彦岡村 光英中井 健櫟原 健吾林 伊吹
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2011 年 62 巻 1 号 p. 11-16

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抄録

FDG-PETは頭頸部領域における悪性腫瘍の治療方針決定や再発診断に有用である。一方で,筋肉の運動においても糖代謝が亢進することがある。喉頭に病変を認めない症例においてもFDGの生理的集積を認める場合があり,一側声帯麻痺症例では健側喉頭にFDGの集積を認めることが知られている。今回,喉頭ファイバースコピーにて喉頭に病変のないことを確認し得た一側声帯麻痺症例28例について喉頭集積の程度と陽性率を定量的に検討した。撮像は1例を除いた27例でFDG投与1時間後 (早期),2時間後 (後期) の2回撮像を行った。発声機会は問診時以外にはなかった。28例中25例でいずれかの撮像で健側に強い集積を認めた。健側の集積を認めなかった3症例はいずれも声帯麻痺の原因は悪性腫瘍ではなかった。また,早期像,後期像とも健側声帯の集積は麻痺側の集積に対し統計学的に有意に強かった (p<0.01) 。また,後期像は早期像に対し集積が強く統計学的に有意であった (p<0.01) 。一側声帯麻痺症例の健側喉頭では代償運動により糖代謝が活発化しているためであると推察した。FDG-PETによる片側性喉頭集積は悪性腫瘍以外に一側声帯麻痺の可能性を考える必要がある。

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