Journal of Computer Chemistry, Japan
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研究論文
ニューラルネットワーク解析法による亜臨界水中でのマルトース加水分解反応の最適化
正本 博士高田 雅子永田 和周重松 幹二
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2008 年 7 巻 5 号 p. 171-178

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抄録

二糖類であるマルトースの亜臨界水中での加水分解反応において,グルコースのみを選択的に高収率で得る最適反応条件をニューラルネットワーク解析法で探索可能か検討した.入力データは反応器設定温度,滞留時間,基質初濃度および反応圧力とし,出力データはグルコース収率と選択率の両者を考慮した反応指標Iとした.圧力と基質初濃度を固定した条件において,滞留時間と反応温度を変数として数点の実験を行い,得られた実験値からニューラルネットワークモデルを作成した. そして,そのモデルを用いて未知の反応条件における反応指標IPの予測を行った.続いて,予測値であるIPの最小値を与える実験条件周辺で実験点を追加し,ニューラルネットワークモデル作成を繰り返すことによって最適反応条件を絞り込んだ.最適反応条件に収束するには,1~3回のニューラルネットワークモデルの再構築が必要であった.反応条件として温度,滞留時間,初濃度,圧力を変数とした4次元の反応最適化についても4回のモデル再構築で反応最適条件の組み合わせを決定することができた.予測で得られた最適反応条件を検証したところ,反応温度で2°C,滞留時間で1.89min以内で予測値と実験値が一致した.また,Iの値も非常によく一致した.

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© 2008 日本コンピュータ化学会
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