Journal of Computer Chemistry, Japan
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密度汎関数法による馬心筋一酸化炭素ミオグロビン活性中心モデル計算- 遠位ヒスチジンが電子状態に及ぼす影響 -
千葉 貢治平野 敏行佐藤 文俊岡本 正宏
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2008 年 7 巻 4 号 p. 165-170

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抄録

馬心筋一酸化炭素ミオグロビン(MbCO)における,遠位ヒスチジン(HIS)イミダゾール基の水素の位置の違いによるヘムと配位子への電子構造の影響を調べるため,いくつかの活性中心モデルを用いて密度汎関数計算を実行した.遠位HISイミダゾール基の水素が一酸化炭素(CO)配位子側に向くε位に水素が付いたモデルでは,δ位に水素が付いたモデルに比べてヘム鉄-CO結合部位近傍の静電ポテンシャルが正に高く,準位が高いヘム鉄由来の被占コーン・シャム軌道準位が安定化した.水素の位置の違いは結合したCOにも影響を与えており,炭素のマリケン電荷の変化量は0.016に及んだ.MbCOにおいても,遠位HISとヘムおよび配位子との相互作用は大きく,配位子結合状態の記述には遠位HISを量子化学的にあらわに考慮する必要があることが示された.

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© 2008 日本コンピュータ化学会
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