日本大腸肛門病学会雑誌
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臨床研究
周術期に深部静脈血栓症および肺塞栓症を合併した潰瘍性大腸炎症例の検討
番場 嘉子板橋 道朗廣澤 知一郎小川 真平野口 英一郎竹本 香織城谷 典保亀岡 信悟
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2007 年 60 巻 6 号 p. 342-346

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抄録

目的 : 潰瘍性大腸炎術後合併症である深部静脈血栓および肺塞栓の臨床学的特徴について検討した.
方法 : 1998年から2005年までに当科で手術を施行した103症例を対象とした. そのうち深部静脈血栓および肺塞栓を発症した症例は7例 (6.9%) であった. 臨床学的特徴について非発症例と比較検討し, 適切な治療について考察した.
結果 : 7症例は, 男性3例および女性4例, 平均年齢は26歳 (22―33), 体脂肪率は平均18.9kg/m2 (15.2―21.7) であった. 深部静脈血栓は6例 (86%) また肺塞栓は1例 (14%) に認めた. 術前から深部静脈血栓の診断に至った症例は4例 (67%) で, 術後に深部静脈血栓を発症した症例は1例 (14%) であった. 全症例で周術期にヘパリンが投与され, 下大静脈フィルターを留置した. 治療開始後に新たな塞栓を来した症例は認めなかった.
結語 : 深部静脈血栓および肺塞栓に対し早期診断が重要である. また周術期におけるヘパリン投与およびフィルター挿入は有用であった.

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© 2007 日本大腸肛門病学会

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