日本大腸肛門病学会雑誌
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症例報告
家族性大腸腺腫症術後9年目に診断された小腸腸間膜原発デスモイド腫瘍の1例
鴇田 博美森 康治勝又 健次斉藤 準青木 達哉
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2007 年 60 巻 8 号 p. 462-466

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抄録

症例は52歳, 女性. 平成9年4月に直腸癌合併家族性大腸腺腫症 (以下FAP) にて大腸全摘, 小腸瘻造設の手術歴がある. 平成18年5月, 腹部腫瘤, 腹痛を主訴に受診し, 腹部CT・MRIで精査を行ったところ, 右腹腔内に約15cmの腫瘤を認め, FAP患者の大腸全摘後であることから, デスモイド腫瘍を疑った. 1カ月の経過観察中に急速な増大傾向を認めたため, 同年6月に手術を行ったところ, 腸間膜原発と考える約20cmの腫瘍を認め, 小腸を約150cm合併切除し摘出した. 病理組織所見で腫瘍は線維芽細胞と膠原線維で構成されており, 悪性所見は認めず, デスモイド腫瘍と診断された. 術後, 短腸症候群などを合併したが改善を認め, 術後47病日に退院した. デスモイド腫瘍はFAPにおいて比較的高率に認められ, 重要な腸管外徴候の一つであるが, 大腸全摘術後9年目に発症することは少ないと考えられ, 文献的考察を加え報告する.

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© 2007 日本大腸肛門病学会

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