横行結腸原発mucosa-associated lymphoid tissue(以下MALT)リンパ腫に対する腹腔鏡下手術の1例を報告する.大腸MALTリンパ腫はまれな疾患であり,治療法が確立されていないが,外科的治療が選択されることが多い.そのなかで,腹腔鏡下手術の報告例は,検索した限りでは自験例を含めて5例のみであった.症例は64歳男性.主訴は便潜血反応陽性精査.大腸内視鏡検査にて,横行結腸に粘膜下腫瘍様の腫瘤の集簇を認めた.生検にてMALTリンパ腫を疑い,腹腔鏡補助下横行結腸部分切除術を施行した.病理組織学的検索では小型から中型の異型リンパ球の増殖を認めた.免疫染色にてCD79a陽性,CD20陽性,bcl-2陽性でMALTリンパ腫と診断.術後15カ月現在再発兆候を認めていない.