日本大腸肛門病学会雑誌
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症例報告
骨盤内動静脈奇形を合併したS状結腸癌の1例
本間 重紀片岡 昭彦高橋 典彦崎浜 秀康佐々木 彩実藤堂 省
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2010 年 63 巻 8 号 p. 499-503

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抄録

症例は60歳代の男性で2008年11月に下血を主訴に近医を受診し,精査でS状結腸癌の診断となり,同月当科入院となった.高血圧の既往あり.下部消化管内視鏡検査で肛門縁より30cmのS状結腸に全周性の2型腫瘍を認めた.生検では高分化腺癌であった.CTではS状結腸に全周性の壁肥厚像を認めた.また両側の総腸骨から内腸骨動静脈にかけ,直腸を圧排する巨大な骨盤内動静脈奇形が存在した.心臓カテーテル検査で,動静脈奇形にともなう高度の僧帽弁閉鎖不全症(MRIII度)と肺動脈高血圧症(PAP:50mmHg)と診断された.2008年12月S状結腸部分切除術をおこなった.骨盤内動静脈奇形に,下腸間膜動静脈も関連していたため,血流の変更をともなわないように,部分切除となった.骨盤内動静脈奇形を合併したS状結腸癌の1例を報告した.

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© 2010 日本大腸肛門病学会

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