暖地水稲において窒素施肥量が背白米の発生に及ぼす影響について検討した結果, 背白米は, 登熟温度(出穂後20日間の平均気温)27℃以上で発生がみられ, 28℃以上で多発した. 登熟温度28℃以下においては, 窒素施肥量の増加により, 背白米の減少傾向がみられ, 玄米タンパク質含有率(玄米窒素量)と背白米発生割合との間に負の相関関係が認められた. 玄米タンパク質含有率6.0%を下回ると背白米の発生割合が増加し, 7.0%を超えると食味が低下したことから, 食味を考慮した玄米タンパク質含有率は6.0~7.0%の間が望ましいと考えられた. 登熟温度28℃を超える条件下においては, 初星, ヒノヒカリといった高温登熟性「弱」品種では背白米が多発し, 玄米窒素量の増大による背白米発生軽減効果が小さかった. したがって, 28℃を超える条件下では窒素施肥量の増加のみによる背白米の発生軽減は困難と考えられ, 高温登熟性の強い品種の導入とともに, その品種に応じた適正施肥量の検討が必要である.