日本食生活学会誌
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論文
高校生の食物摂取状況と不定愁訴との関連
原田 昭子矢埜 みどり岸田 恵津大瀬良 知子
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2011 年 22 巻 3 号 p. 213-221

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抄録

  思春期である高校生の食生活実態を調査し, 食生活改善のオペラント強化因子の1つとして不定愁訴の利用を考えた。
  食事バランスガイドを用いて, 食物摂取頻度状況を各料理区分別の過不足SVおよび食事バランスで評価した。問題として菓子・嗜好飲料の過剰摂取, および主食と副菜, 果物, 牛乳・乳製品の摂取不足があげられる。男子は, 食事の不足に菓子・嗜好飲料の過剰摂取が影響していた。
  不定愁訴は, ほとんど全員が何らかの不定愁訴を感じており, 平均約6項目と複数の不定愁訴を訴えている。不定愁訴数の平均の個数は女子の方が多く, ばらつきは男子の方が大きい。個々の項目では, 立ちくらみとだるさ, 便秘, 肩こりに有意な性差が見られ, いずれの項目も男子より女子の方が不定愁訴を感じている。
  食物摂取状況と不定愁訴の関連を分析した結果, 男子に関しては, 菓子・嗜好飲料の過剰摂取, 主食と副菜, 食事バランスの不足が不定愁訴に影響していた。食事バランスの不足がイライラや食欲不振などと関連しており, これらの不定愁訴のために食事内容が悪くなる場合も考えられる。しかし, 食事の不足に影響を与えている菓子・嗜好飲料の摂取を減らすことで, 食欲不振が改善される可能性はある。さらに, 主食や副菜の摂取を増やし, これらの料理区分別SVを適正に近づけていく努力を続けることで, 不定愁訴の改善を実感し, 自分自身で行動変容の効果を確認できることも考えられる。
  女子の不定愁訴には, 食事以外の要因が関係しており, 今後の課題として, より有効な健康教育の方向性を見つけていきたい。

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