日本救急医学会雑誌
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総説
ドクターヘリの過去,現在,未来
小濱 啓次
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2010 年 21 巻 6 号 p. 271-281

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抄録

医師の搭乗したヘリコプター(ドクターヘリ)の歴史は古いが,国の救急医療体制の一翼として活動が開始されたのは,1968年ドイツが最初で,その歴史は新しい。わが国では1982(昭和57)年,川崎医科大学で1日だけの試験飛行が行われたのが最初で,ドクターヘリが国の救急医療体制の一環として正式に運航を開始したのは2001(平成13)年4月1日からである。現在,19道府県23ヶ所で救命救急センターを基地としてドクターヘリが運航されており,多くの傷病者の救命に活躍している。2007(平成19)年6月27日「救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法」ができたこともあり,全国の道府県がドクターヘリの導入を検討しており,今後4~5年以内に,都道府県の救命救急センターに1ヶ所はドクターへりが配備される時代が来るであろう。今後は都市部にドクターカーを配備し,傷病者発生時,必要に応じてドクターカーにするのか,ドクターヘリにするのかを決め,一人でも多くの傷病者が救命される時代が来ることを期待している。

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