日本外科系連合学会誌
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臨床経験
外傷性血胸・気胸27例の検討
境 雄大
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2008 年 33 巻 5 号 p. 724-728

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抄録

 外傷性血胸・気胸27例(血気胸14例,気胸9例,血胸4例)の受傷機転,合併損傷,治療,予後を検討した。年齢は18~84歳(平均51.7歳),男性23例,女性4例であった。受傷機転は,交通事故10例,転落9例,転倒5例,その他3例であった。肋骨骨折は24例で,1例に胸郭動揺を認めた。合併外傷は腹部外傷4例,四肢骨折3例,頭部外傷2例,骨盤骨折1例であった。胸部外傷の治療は胸腔ドレナージ20例,保存的治療7例で,手術症例はなかった。緊急治療は頭部外傷2例に行われた。輸血は5例で,多発外傷が4例であった。予後は全例生存であった。外傷性気胸・血胸は肋骨骨折を合併することが多く,肋骨骨折症例では気胸・血胸も念頭において診療すべきである。外傷性血胸・気胸ではドレナージや経過観察のみで軽快することが多いが,腹部臓器損傷合併例では輸血,緊急手術を要することがあるため,注意を要する。

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© 2008 日本外科系連合学会
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