日本外科系連合学会誌
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症例報告
鼠径ヘルニア修復に用いたProloopの小腸穿通でイレウスを生じた1例
園原 史訓原田 明生小西 滋
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2010 年 35 巻 6 号 p. 895-898

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抄録

 症例は69歳,男性.約4時間前に発症した右鼠径ヘルニア嵌頓で救急外来を受診した.用手的整復が不可能だったため,腰椎麻酔下に緊急手術を施行した.嵌頓した小腸に壊死がないことを確認して整復し,Proloopを用いたヘルニア根治術を施行した.術後経過は良好で術後9日目に退院した.退院後の術後12日目に腹痛を主訴に外来を受診し,CTで小腸イレウスと診断された.入院8日目にイレウス管を挿入したが改善せず,開腹手術を施行した.術中所見では回腸末端から35cmの小腸,小腸間膜が一塊となって右下腹部の腹壁と癒着していた.癒着を剥離すると腹腔内に露出したProloopを認めたため,これを離断して小腸部分切除を施行した.病理検査では回腸と回腸間膜にProloopの穿通が認められた.腹腔内に露出したメッシュが小腸に穿通し,イレウスを生じた稀な1例を経験したので報告する.

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© 2010 日本外科系連合学会
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