日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
SLE 症例に発症した胸腹部大動脈解離の1治験例
森田 英幹多胡 護森本 徹神野 禎次山根 正隆
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2008 年 37 巻 2 号 p. 147-150

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抄録

全身性エリテマトーデス(SLE)のため長期にわたるステロイドの内服を行っていた患者が胸腹部大動脈解離を発症し,直達手術により良好な経過がえられたので報告する.症例は53歳,女性.約10年前よりSLEのためプレドニゾロン(PSL)を12.5mg/日投与されていた.2003年9月胸部下行大動脈から腹部大動脈におよぶ急性大動脈解離を発症し保存的に経過観察を行っていたが,同年11月再解離と動脈瘤の拡大を認めたため,2004年1月人工血管置換術を施行した.第5肋間で左開胸を行い,横隔膜を切離して胸部下行,腹部大動脈を露出した.遠位弓部大動脈,腹部大動脈,腹腔動脈を遮断し,Th11~L1の肋間動脈を温存して下行大動脈から腹腔動脈の直上まで人工血管置換術を行った.術後経過は良好で,術後17日目にステロイドコントロール目的で内科に転科した.

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