2008 年 37 巻 3 号 p. 164-166
右冠動脈-左房瘻に合併した多発巨大冠動脈瘤の1例を経験した.症例は35歳,女性.24歳時,第1子妊娠中に心エコーで心嚢内の嚢腫様病変を初めて指摘されたが放置していた.今回,第2子出産後, X 線造影 CT で右冠動脈入口部より起始する最大径85mmの冠動脈瘤およびそれより右房の横洞面を通り左房に向けて併存する最大径40mmの2つの冠動脈瘤を指摘された.心拡大を呈し,瘤径が大きく破裂の危険があるため,手術適応と判断された.体外循環,心停止下に冠動脈瘤切除,術中に判明した瘻孔の閉鎖および冠動脈#3への冠動脈バイパス術を施行した.術後経過は良好であり,独歩退院となった.