2008 年 37 巻 3 号 p. 185-188
症例は77歳,女性.胸腹部大動脈瘤破裂で緊急入院となった.CTで横隔膜レベルに最大径7cmのCrawford I型の胸腹部大動脈瘤とその周囲に血腫を認めた.全身麻酔下に右大腿動脈アプローチでstent graft内挿術を施行したが末梢端のendoleakが残存した.術翌日のCTでも瘤内の造影を認めたため追加stent graft内挿術を施行した.全身麻酔下に開腹し,まずY字graft(Intergard 16×8mm)で腹部大動脈から腹腔動脈,上腸間膜動脈間にバイパスをおいた.そのあと右総腸骨動脈から7.5cm長のstent graftをstent in stentとして腎動脈直上まで留置した.術後の造影では胸腹部大動脈瘤内へのendoleakは消失し,腹腔動脈,上腸間膜動脈へのgraft patencyは良好であった.術後25日目に退院となった.破裂性胸腹部大動脈瘤に対して腹部分枝再建後のstent graft(hybrid techniques)は有効な治療法と考えられた.