日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
激烈な転帰を辿った Listeria 菌による感染性腹部大動脈瘤の緊急手術例
坂本 和久林 叔隆瀧 智史西澤 純一郎中山 正吾
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2008 年 37 巻 4 号 p. 226-229

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抄録

激烈な転帰を辿った Listeria 菌による感染性腹部大動脈瘤を経験したので報告する.症例は76歳男性,持続する腹痛および発熱を主訴に来院,腹部CT検査で38mmの腹部大動脈瘤と麻痺性イレウスの所見を認め,憩室炎の診断で入院した.抗生剤治療が開始されたものの,翌日症状は増悪,腹部CT再検にて後腹膜へ大量の血腫像を認め,緊急手術を行い救命した.病理組織および培養結果より Listeria monocytogenes による感染性腹部大動脈瘤破裂と診断された.急激な臨床経過,感染兆候を認める動脈瘤破裂では感染の関与の可能性を念頭に置いた治療方針を考えるべきである.

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© 2008 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
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