日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
LMT 解離を伴う急性大動脈解離に対して緊急 LMT ステント留置後上行弓部大動脈置換術を施行した1例
畠山 正治高原 善治茂木 健司椛沢 政司
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2008 年 37 巻 6 号 p. 353-357

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抄録

症例は57歳男性,主訴は右上肢および両下肢のしびれ,胸痛.DeBakey I型の急性大動脈解離にて緊急入院した.右上肢と両下肢の虚血,心電図V1~4でST上昇,心エコーで前壁の無収縮を認めたため,緊急冠動脈造影を行った.解離によるLMTの高度狭窄を認めたため同部位にステント留置して血流を確保した後,直ちに上行弓部大動脈置換術・冠状動脈バイパス術・F-Fバイパス術を施行し救命し得た.冠動脈に解離が及び心筋梗塞を合併した急性大動脈解離において,本症例のように,LMT解離を伴う急性大動脈解離に対して術前PCIを施行し,早急に冠状動脈の血流を確保した上で,大動脈の修復術とCABGを施行することは有効な治療戦略の一つである.

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