日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
不安定狭心症に対する PCI 後,blow out 型の左室自由壁破裂を発症した1救命例
田中 大造柳沼 厳弥阿部 和男浜崎 安純河原井 駿一
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2009 年 38 巻 2 号 p. 123-125

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抄録

症例は83歳,女性.不安定狭心症の診断で回旋枝に経皮的冠動脈形成術(PCI)を施行し,その後の経過は良好であった.しかし,第8病日に急にショック状態となり,心エコーでは多量の心嚢液が見られた.心嚢ドレナージで血性心嚢液を認め,原因不明ながら心破裂が疑われ緊急開胸した.鈍縁枝領域に拇指頭大の急性心筋梗塞巣を認め,同部にblow out型の左室破裂を認めたため,水平マットレス縫合2針で止血した.術後経過は良好で,術後25日に軽快退院した.本症例ではPCIの際に,細い枝を1本犠牲にせざるを得ず,これが今回の心破裂の原因であると考えられた.PCI後に心タンポナーデを発症した際は,本症例のような機序で心破裂が起こりうることを念頭に置く必要があると考えられた.

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