日本心臓血管外科学会雑誌
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原著
心臓外科手術後における超短時間作用型β遮断薬の効果
杉浦 唯久小出 昌秋國井 佳文梅原 伸大渡邊 一正
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2009 年 38 巻 3 号 p. 179-183

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抄録

今回われわれは2007年1月から9月までに行われた成人心大血管手術全60例のうち術後に超短時間作用型β遮断薬(Landiolol)を使用した24例について検討した.平均心拍数は投与前99.5±16.5/分から投与後89.5±10.7/分と有意に低下した(p=0.0008).平均収縮期血圧,平均心係数は投与前後で有意差を認めなかった(それぞれp=0.15,p=0.75).術後入院期間中に心房細動が発生したのは24例中4例(17%)であった.Landiolol使用開始前に行った心大血管手術の術後に心房細動が発生したのは50例中20例(40%)であった(p=0.045).Landiolol投与により血圧,心係数を低下させることなく心拍数を有意に減少させることができた.術後の心房細動出現の予防効果も認められた.Landiololは心大血管手術後急性期に安全に使用できるβ遮断薬として期待できる.

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© 2009 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
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