日本心臓血管外科学会雑誌
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原著
日本の心臓外科医療の体制および臨床プロセスの現状:成人心臓外科施設調査報告
宮田 裕章本村 昇月原 弘之入江 嘉仁高本 眞一日本心臓血管外科手術データベース機構
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2009 年 38 巻 3 号 p. 184-192

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抄録

心臓外科医療の体制や臨床プロセスの実施状況について,日本心臓血管外科データベース成人部門の参加施設(2007年4月時点)を対象に調査を行い,129施設から回答を得た(回収率86.6%).CABG手術について,「手術に少なくとも1つの内胸動脈を用いる」では“第1選択として判断を統一している”という回答が95.3%と最も多かった.「手術退院時のアスピリン投与」,「手術退院時の脂質降下薬の投与」では“実施の判断は各担当医による”が89.9%,47.3%と最も多かった.「術前のβブロッカー投与」,「手術退院時のβブロッカー投与」では“推奨は特に行なっていない”が72.9%,60.5%と最も多かった.上記の項目は全て米国胸部外科学会が推奨するプロセスである.米国において高い実施率であるプロセスでも,日本では特にβブロッカー投与について慎重な施設が多いことが示された.今後は日本のデータに基づいて効果を分析し,推奨する体制やプロセスを検討することが必要であると考えられる.

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