日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
冠状動脈バイパス術後の縦隔洞炎に化膿性脊椎炎を併発した1例
河野 康治天野 宏河合 靖竹内 靖夫
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2010 年 39 巻 3 号 p. 141-143

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抄録

症例は59歳,男性.心筋梗塞の診断にて冠状動脈バイパス術4枝を施行した.術後,第9病日目に発熱,正中創部の離開,膿の排出を認めた.創部よりメチシリン耐性ブドウ球菌(以下MRSA)が検出され,創部掻爬,胸骨ワイヤー抜去を行った.感染は胸骨下,前縦隔にまでおよび,縦隔洞炎と診断した.創部洗浄,抗生物質(バンコマイシン)投与にて,炎症反応は低下し,感染創部からMRSAが消失した.完全に閉創するのに,60日を要した.75病日目に,突然の右肩から頸部にかけての疼痛,上肢のしびれが出現した.MRIにて,頸椎5~6椎体の破壊像を認め,化膿性脊椎炎と診断した.脊髄は圧迫されており,頸椎以下の脊髄損傷の危険性があり,整形外科と相談のうえ,頸椎前後方固定術を施行し軽快退院となった.MRSA縦隔洞炎に頸椎化膿性脊椎炎を併発し緊急手術を要した症例を報告する.

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