2010 年 39 巻 1 号 p. 21-24
症例1は14歳男児.右冠動脈右房瘻に対して,右房切開による瘻開口部直接縫合閉鎖と瘻起始部の外側からの結紮を行い,右冠動脈起始部の外側からの縫合閉鎖および瘻分岐直後での右冠動脈の結紮の後,右内胸動脈-右冠動脈末梢側バイパス術を行った.症例2は5歳男児.左冠動脈右房瘻に対して,右房切開による右房内開口部の直接縫合閉鎖および瘻起始部の外側からの結紮を施行した.冠動脈瘻の診断には術前の心エコー検査が有用であった.2例とも自覚症状を認めなかったが,症例1は肺体血流比2.4,症例2は肺体血流比2.1とともに高度の心内シャントを認めたため手術適応と判断した.冠動脈瘻は稀な疾患であるが,心筋虚血や感染性心内膜炎などの合併もあり,成長により心不全を呈してくることも予想されるため,症例によっては小児期でも積極的な外科治療が望まれる.