弁付きグラフト(Aortic Valved Graft)を用いてapico-aortic conduit bypass(ACB)を行ったので報告する.症例は狭小弁輪を伴う大動脈弁狭窄症の60歳,女性で,胸部大動脈は上行から下行まで石灰化が著しく陶器様大動脈であった.通常の大動脈弁置換術は困難と判断し,ACBを行った.手術は左開胸で行い,下行大動脈送血,肺動脈脱血で人工心肺を確立した.下行大動脈を遮断し,人工血管を下行大動脈に吻合した.心室細動を誘導し,左室心尖部を人工血管と同等の径になるように切除し,馬心膜パッチで補強し人工血管を縫着した.除細動後に,Aortic Valved Graftを人工血管に吻合しバイパスを完成した.ACBにAortic Valved Graftを用いることは,弁付きグラフトを作製する手間と時間を省くことができ,同じ種類の人工血管吻合が可能になるという利点があると考えられる.