日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
Blow out 型左室自由壁破裂に対して sutureless technique を用いて救命し得た1例
奈良原 裕尾頭 厚村田 登
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2010 年 39 巻 5 号 p. 254-257

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抄録

症例は78歳,女性.3日前からの胸部圧迫感を主訴に近医受診,急性心筋梗塞(AMI)の診断にて当院紹介となった.当院循環器内科にて緊急冠動脈造影検査を施行し,seg. 7 100%閉塞,seg. 1 90%の狭窄病変を認め,経皮的冠動脈形成術(PCI)が施行され再灌流を得られた.ICU入室後,心タンポナーデからショック状態となった.心嚢穿刺ドレナージによっても直にショックとなるため大動脈内バルーンパンピング(IABP)を挿入した後,緊急開胸手術とした.手術台上で無脈性電気活動(PEA)となり,開胸したところ心嚢内には多量の血腫を認め,これを除去すると左室心尖部付近の前壁3カ所より多量の血液噴出を認めた.前壁のblow out型左室破裂(LVFWR)であった.手術は,非ヘパリン化,非体外循環下にTachoComb®,fibrin glueの重層法+馬心膜パッチ+GRF glueによるsutureless techniqueを用いた.Blow out型LVFWRに対して非体外循環下にsutureless techniqueを用いて救命し得た症例は報告例が少ない.

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