日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
感染性腹部大動脈瘤の3治験例
——In situ 人工血管置換術例と in situ 凍結保存同種大血管置換術例——
上原 麻由子丸山 隆史山田 陽中西 克彦栗本 義彦岡本 史之酒井 圭輔樋上 哲哉
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2010 年 39 巻 2 号 p. 90-93

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抄録

感染性腹部大動脈瘤は腹部大動脈瘤の1~3%を占めるとされ,その診断および治療については問題点も多い.われわれは,発熱を主訴として来院した腎動脈下の感染性腹部大動脈瘤を3例経験した.不明熱の原因検索に時間を要したが,感染性腹部大動脈瘤の確定診断には血液培養のほかに数回の造影CTが非常に有用であった.治療は術前に適切な抗生剤でできる限り全身の感染コントロールを行ったうえで,適切な手術時期を決定することが重要であった.手術は1例でシプロフロキサシンに浸したin situ人工血管置換術,2例で凍結保存同種大血管(Homograft)による置換術を施行したが,いずれも良好な術後経過を得ることができた.

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© 2010 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
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