2011 年 40 巻 3 号 p. 104-107
症例は77歳,既往歴に心筋梗塞があり,近医で通院加療を行っていた.半年前から腹部膨隆感が出現した.CTスキャンで卵巣腫瘍と最大横径68 mmの腹部大動脈瘤と診断され,当院を紹介受診した.骨盤・腹腔を占拠する巨大卵巣腫瘍摘出術と腹部大動脈瘤人工血管置換術の同時手術を施行した.卵巣腫瘍の病理診断はmucinous cysticadenomaの所見であった.術後経過は良好で術後第13病日に軽快退院した.骨盤・腹腔内を占拠する腹部腫瘍を合併し,腹部大動脈瘤に対する早期手術を要する症例であり,術式に検討を要し文献的考察を行った.巨大卵巣腫瘍摘出と腹部大動脈瘤人工血管置換術の同時手術報告例は稀であり報告した.