日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
開心術後発症した片側性肺水腫に対して, VV ECMO を使用し救命しえた2例
中村 裕昌山口 裕己中尾 達也大島 祐徳永 宜之光山 晋一渡邊 晃佑
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キーワード: 片側性肺水腫, VV ECMO
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2011 年 40 巻 4 号 p. 172-176

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抄録

開心術後に発生した片側性肺水腫に対してVV ECMOを施行し軽快した2症例について報告する.症例1は35歳女性.重度の僧帽弁閉鎖不全症,三尖弁閉鎖不全症を認め,右開胸で僧帽弁形成術および三尖弁形成術を施行した.人工心肺離脱後に酸素化の維持が困難となったために,大腿静脈送血,内頸静脈脱血のVV ECMOを施行した.胸部Xpでは右肺片側性の肺水腫を認めた.術5日目にVV ECMOを離脱した.その後深部静脈血栓を認めIVCフィルターを装着したが,経過良好で独歩退院となった.症例2は大動脈弁置換術後の67歳男性.弁輪部膿瘍を認め,大動脈基部置換術を施行した.人工心肺離脱後,酸素化の維持が困難となり両側大腿静脈脱血,送血でVV ECMOを施行した.胸部Xpでは右肺片側性の肺水腫を認めた.術後5日目にVV ECMOを離脱し,術60日目に独歩退院となった.術直後の呼吸不全症例に対してVV ECMOは有効と考えられるが,静脈血栓などの問題もあり,引き続き検討していく必要がある.

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