日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
四度の僧帽弁位人工弁離解を起こし,ステロイド投与が有効と考えられた二弁置換術後の症例
佐々木 章史中野 清治小寺 孝治郎浅野 竜太池田 昌弘片岡 豪道本 智立石 渉久保田 沙弥香
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2011 年 40 巻 4 号 p. 193-196

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抄録

47歳男性.二弁置換術後6カ月と8カ月後に人工弁感染の疑いで再二弁置換術を施行した.その後,術後早期より僧帽弁位人工弁離解が出現し,初回手術より15カ月後と21カ月後に再手術を行った.手術所見はいずれも大動脈弁,僧帽弁接合部の広範囲な裂開であった.全経過を通じて血液培養からは菌の検出はなく,CRPの陰転化を認めなかった.このため非感染性炎症性疾患を考え,精査を行ったが診断は得られなかった.4度目の再手術後,術後15日でCRP再上昇し収縮期雑音の聴取がみられたため,ステロイドの投与を開始した.ステロイドの投与開始後,CRPは陰転化しその後人工弁逆流の増悪は認めていない.

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