日本心臓血管外科学会雑誌
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原著
胸部大動脈瘤に対する Matsui-Kitamura(MK)stent による open stent-grafting(OSG)の初期成績
緑川 博文菅野 恵高野 隆志渡邉 晃佑植野 恭平森島 重弘小野 隆志
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2011 年 40 巻 6 号 p. 272-278

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抄録

Matsui-Kitamura(MK)stentによるopen stent-grafting(OSG)の初期成績を検討したので報告する.2005年8月から2011年3月までに胸部大動脈瘤(TAA)35例(男女比29/6,年齢58~86歳,平均71歳)に対し本術式を施行した.瘤形態は真性29例,解離4例(A/B 1/3),真性+B型解離2例であった.破裂有無は,破裂ないし切迫破裂4例,未破裂31例,瘤径は45~100 mm,平均67 mmであった.ステントグラフト径は33.5±3.2 mm,挿入長は149±21 mm,末梢位置はTh 6:2例,Th 7:11例,Th 8:15例,Th9:6例,Th 12:1例であり,全例挿入留置に成功した.併用手術は,MVRおよびCABG各1例,ペースメーカー植え込み術2例であった.術後合併症は,72時間以上人工呼吸10例(28.6%),Stroke 2例(5.7%),対麻痺1例(2.9%),不全対麻痺4例(11.4%,うち3例は一過性で完全回復),出血再開胸・虚血性腸炎・急性腎不全による一過性血液透析・気管切開を各1例認めた.病院死亡3例(8.6%,呼吸不全・腸管壊死・脳幹梗塞各1例)に認めた.われわれの開発したMK stentによるOSGは,ほぼ満足いく初期成績であり,その有効性が示唆された.

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