日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
右心不全によるショックにて緊急手術を行った巨大右房原発血管肉腫の1例
加藤 雄治加藤 全功古谷 光久久本 和弘杉村 幸春外山 雅章
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2011 年 40 巻 6 号 p. 322-325

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抄録

今回われわれは巨大な右房原発血管肉腫により,症状出現から数日後という比較的急な経過で右心不全・ショック状態に陥った75歳女性の症例を経験した.緊急で人工心肺下に腫瘍を摘出し,EPTFEパッチによる右房再建を行い救命することができた.切除断端は陽性であり,術後放射線療法を追加した.現在術後14カ月を経過し,局所再発はないが,多発肺・肝転移に対して化学療法施行中である.原発性心臓血管肉腫は非常に稀で予後不良な疾患である.外科的な完全切除が治療の基本となるが,放射線療法や化学療法などを併用した集学的治療により,予後の改善を示す症例もあり,今回の経験を,文献的考察を踏まえて報告する.

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