2010 年 27 巻 3 号 p. 363-368
孤発性片麻痺性片頭痛(SHM)で発症したPanayiotopolos症候群(PS)の女児例を経験した。4歳1カ月から8カ月間に、早朝睡眠中あるいは、朝起床直後に発症する4回の発作を認めた。最初2回の発作は、激しい頭痛と嘔吐、一過性左片麻痺といったSHMに合致する症状で、3回目は反復性嘔吐と軽い頭痛、4回目は眼球左方偏倚、四肢脱力、意識障害、反復性嘔吐と頭痛といったPSに合致する症状であった。4回目の発作後に初めて、脳波で右後頭部優位の棘波が確認され、PSと診断された。
特発性てんかんの一部と片麻痺性片頭痛では、共通の神経イオンチャネル遺伝子の異常が知られている。こうした異常を背景に、片麻痺性片頭痛とPSが並存する可能性もあり得ると思われる。