2010 年 28 巻 1 号 p. 17-23
本邦における高齢者初発てんかんの治療の現状を明らかにするため、日本てんかん学会てんかん専門医を対象にアンケート調査を行った。「既往疾患のない高齢者のてんかん」の初回治療に関する設問と、「てんかん以外の併存症で治療薬内服中の高齢者のてんかん」の初回治療に関する設問を設定した。集計方法は2005年に米国で発表されたエキスパート・コンセンサスガイドラインに準じた。74人から回答を得た。結果は両設問ともcarbamazepin(CBZ)が第1選択薬として推奨され、lamotrigine(LTG)、levetiracetam(LEV)、gabapentin(GBP)を第1選択薬として推奨する米国の結果とは差異を認めた。しかし「てんかん以外の併存症で治療薬を内服中の高齢者」に対する設問では、本邦でもLEV、GBPといった新規抗てんかん薬を評価する意見が多くを占め、その期待が大きいものと推測された。