てんかん研究
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原著
バルプロ酸内服中の女性てんかん患者にみられた多嚢胞性卵巣症候群に関する検討
皆川 公夫渡邊 年秀大柳 玲嬉
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2011 年 29 巻 1 号 p. 22-27

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抄録

抗てんかん薬内服中のてんかん女性のうち、月経異常を認める患者に対して卵巣MRI検査と血中性ホルモン測定を行い、現在までに9例が2007年日本産科婦人科学会の診断基準により多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と診断された。これら9例は全例精神遅滞を合併しかつバルプロ酸(VPA)を服用中であったが、うち7例は難治性で発作抑制がえられていなかった。VPAの平均投与開始時年齢は3歳7カ月、平均投与期間は17年と非常に長期であり、VPAの平均投与量は13.3mg/kg/day、平均血中濃度は85.4μg/ml であった。PCOS診断基準にある男性ホルモン高値基準を満たしたのが8例、LHとFSHの診断基準を満たしたのが5例で、卵巣MRIでは全例に多嚢胞卵巣を認めた。また、BMIが25以上の肥満が3例、HOMA-IRが2.0以上のインスリン抵抗性は全例に認められた。PCOS診断後は産婦人科や内分泌科と連携してホルモン治療やVPAの中止など適切な対応策を検討することが必要である。

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© 2011 日本てんかん学会
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