症例は75歳の女性で，2008年2月中旬腹部膨満感にて受診となった．血液検査ではCEAの上昇を認め，CTでは幽門輪近傍の石灰化を伴う壁肥厚および周囲リンパ節腫大を認めた．上部消化管内視鏡検査では幽門狭窄を認めたが潰瘍や腫瘍は確認できなかった．また，狭窄部の生検はgroupIであった．18F-fluorodeoxyglucose-positron emission tomography（FDG-PET）では狭窄部およびCTで認めた腫大リンパ節にFDGの集積を認めリンパ節転移を伴う胃癌が疑われた．CEAの上昇や画像検査所見より胃または十二指腸の悪性疾患による幽門狭窄との診断にて手術を施行した．腫瘤は幽門輪のすぐ肛門側に存在したため幽門側胃切除，胃癌取扱い規約に準じたD3郭清を行い，Roux-en-Y法にて再建した．病理組織学的検査所見では砂粒体の形成を伴う中分化腺癌を認め十二指腸癌との診断であった．
