肝細胞癌根治療法後の孤立性大動脈周囲リンパ節再発は非常にまれで，今回，摘出術が奏効した症例を経験したので報告する．症例は72歳の男性で，2年前から1 cm大の肝細胞癌に対して，経皮的エタノール注入療法を2回施行され，再発巣に対して，ラジオ波焼灼療法を3回施行された．経過観察中に徐々にalphafetoprotein（以下，AFP）値の上昇を認め，8か月後のCT上，大動脈周囲に3.5 cm大の孤立性リンパ節腫大を指摘された．肝内，外に他に再発を疑う所見はなく，肝細胞癌の孤立性大動脈周囲リンパ節再発と診断し，摘出術を施行した．摘出標本は31×17 mmの被膜を有する弾性軟の腫瘤で，病理組織学的検査所見は肝細胞癌リンパ節転移の診断であった．術後，AFP値は正常域まで低下し，3年9か月を経た現在も無再発生存中である．肝細胞癌に対するラジオ波焼灼療法後，孤立性大動脈周囲リンパ節再発を来し，摘出術が奏効した症例を，文献的考察を加え報告する．