日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
症例報告
腸回転異常症に起因した内ヘルニアによる絞扼性イレウスの1例
齋田 真矢川 彰治山口 大輔安村 友敬小澤 俊総
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 42 巻 5 号 p. 533-539

詳細
抄録

 腸回転異常症に起因した傍十二指腸ヘルニアによる絞扼性イレウスの手術例を経験したので報告する.症例は25歳の男性で,突然の嘔吐と著明な腹痛を主訴に当院受診した.腹部CTにて右側腹部の盲嚢状構造物内に造影効果の乏しい腸管と集束した腸間膜を認めた.十二指腸は下行脚から上腸間膜動脈右側を走行し空腸に移行しており,腸回転異常症に起因した傍十二指腸ヘルニアによる絞扼性イレウスの診断に対し緊急手術を施行した.開腹所見では結腸間膜と後腹膜との癒合不全を認め,同部位が約3 cmのヘルニア門を形成し,空腸が約40 cm嵌入,嵌頓していた.嵌頓した空腸を引き出し,絞扼を解除すると,腸管色調良好となったため腸管切離は施行せず,ヘルニア門は大きく開放することで再燃の可能性は低いと判断し手術終了とした.腸回転異常症は先天性疾患であり,本症例のような傍十二指腸ヘルニアによる成人発症例は比較的まれであると考えられた.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top