日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
免疫組織学的に細胆管細胞癌と考えられた1例
石上 俊一馬場 信雄雑賀 興慶北口 和彦崎久保 守人浦 克明平良 薫大江 秀明吉川 明田村 淳
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2009 年 42 巻 6 号 p. 657-662

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抄録

 症例はB型肝炎の既往がある59歳の男性で,肝S7-8に増大する径5 cmの腫瘍を指摘された.CTや血管造影検査では,腫瘍辺縁が早期に濃染したが中心部は造影されなかった.Cholangiocellular carcinoma(以下,CCC)の診断で肝右葉切除術が施行された.被膜形成のない白色充実性の硬い腫瘍で,cholangiolocellular carcinoma(以下,CoCC)以外にCCCやhepatocellular carcinoma(以下,HCC)の成分が混在していた.PAS(−),Alcian blue(±),サイトケラチン(以下,CK)-7(+),CK-19(+),CK-8(+),Hep-Par1(−)であった.Epithelial membrane antigen(以下,EMA)の染色性から,CCCへの分化を伴うCoCCと診断された.術後に一旦正常化した腫瘍マーカーは,2年後に縦隔リンパ節転移や多発肺転移,癌性胸膜炎の出現とともに再上昇し,患者は術後3年3か月で死亡した.CoCCや混合型肝癌はいずれもhepatic progenitor cells由来と考えられており,同一の病態である可能性がある.

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