日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
直腸穿孔を来した胃癌直腸転移の1例
田畑 智丈藤村 昌樹佐藤 功舛田 誠二千野 佳秀沖田 充司弓場 孝郁飯田 稔有馬 良一米村 豊
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2010 年 43 巻 7 号 p. 710-716

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抄録

 症例は69歳の男性で,2007年4月,4型胃癌で胃全摘術を施行した.術後は他医で補助化学療法を施行し,再発徴候なく経過した.2008年12月,汎発性腹膜炎で緊急手術を施行.手術所見は肛門縁より約3 cm口側の直腸(Rb)に全周性狭窄を認め,さらに約2 cm口側の拡張した直腸に間膜内への穿孔を認めた.過大侵襲を避けるため,穿孔部で直腸を切断し,人工肛門造設術を施行した.腹膜播種は認めなかった.後日施行した直腸狭窄部の生検で低分化腺癌を認めたため,2009年1月,腹会陰式直腸切断術を施行した.病理組織学的検査では低分化腺癌の浸潤性増生を粘膜下層主体にほぼ全層に認めたが,粘膜面は正常陰窩が保たれていた.以上から,胃癌の直腸転移と診断した.胃癌の直腸転移の報告はまれであり,胃癌の直腸転移で直腸穿通を来した症例は,文献検索上見当たらず,本邦で初めての報告と考えられた.

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