日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
繰り返し施行した局所切除が有効であった肝細胞癌腹壁転移の1例
野口 慶太神山 俊哉中西 一彰横尾 英樹田原 宗徳福森 大介蒲池 浩文松下 通明藤堂 省
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2011 年 44 巻 2 号 p. 138-145

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抄録

 症例は64歳の男性で,肝右後下区域に肝細胞癌を指摘され当科にて腹腔鏡下マイクロ波凝固療法を施行した.術後3年目に腹腔鏡手術創と異なる右側腹部に腫瘤を認め,肝細胞癌腹壁転移の診断にて腹壁腫瘤摘出術を施行した.その後外来にて経過観察していたが,7か月後に腫瘍マーカー(PIVKA II)の上昇認め,腹部CTで肝細胞癌腹壁転移再発と診断,腹壁腫瘤摘出術を施行した.8か月後に再び腫瘍マーカーの上昇と腹部CTにて切除部近傍に腫瘤を認め,肝細胞癌腹壁転移再々発の診断にて放射線療法を施行した.5か月後,再度腫瘍マーカーの上昇あり腹部超音波検査腹部造影CTにて3度目の肝細胞癌腹壁転移再発の診断にて腹壁腫瘤摘出術を施行した.現在再発なく経過中である.腹壁転移の発生から27か月という比較的長期間,他の遠隔転移を認めず経過したまれな1例を経験したので文献的考察を含めて報告する.

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