日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
孤立性脳転移を契機に発見され,長期生存が得られたS状結腸癌の1例
中島 紳太郎諏訪 勝仁北川 和男藤田 明彦山形 哲也岡本 友好柏木 秀幸矢永 勝彦
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2011 年 44 巻 1 号 p. 84-91

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抄録

 今回,我々は脳転移を契機に発見されたS状結腸癌に対し転移巣および原発巣切除を行い,長期生存を得た症例を経験したので報告する.症例は54歳の女性で,2005年11月に頭痛と右上下肢の痺れ,脱力を主訴に当院脳外科を受診した.造影MRIで造影効果を伴う直径15 mm大の円形腫瘍と周囲の広範な浮腫を認めた.腫瘍マーカーはCA19-9が58 U/mlと軽度上昇していた.腹部CTでS状結腸の壁肥厚と所属リンパ節の腫大を認め,S状結腸癌とそれによる脳転移が疑われた.同月,神経症状の増悪のため脳外科での腫瘍切除を先行し,高分化型腺癌の診断に至り外科転科となった.同12月に高位前方切除D2郭清を施行,最終診断はS/C,type2,tub1,53×45 mm,pSS,ly1,v1,pN1,sH0,cP0,cM1,fStageIVであった.UFT+LVによる追加治療を1年継続し,現在51か月の無病再発期間を得ている.

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