日本消化器外科学会雑誌
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原著
胃癌センチネルリンパ節同定における蛍光ビーズ法の有用性
平林 葉子平井 敏弘松本 英男浦上 淳山下 和城角田 司
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2012 年 45 巻 3 号 p. 243-249

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抄録

 はじめに: センチネルリンパ節(sentinel node;以下,SNと略記)同定のトレーサーは,一般的に色素やradioisotope(以下,RIと略記)が用いられる.しかし,色素の粒子径は小さく,生体内で癌細胞の動態を反映するか疑問が残る.また,RIは特殊施設を要する欠点がある.癌細胞に近い粒子径で使用が簡便である蛍光ビーズを色素法(Indocyanine Green;以下,ICGと略記)と併用し,胃癌におけるSN同定の有用性を検討した.対象と方法: 蛍光ビーズ使用に同意を得たcN0の胃癌31例を対象とした.蛍光ビーズは,術前日内視鏡下に病変粘膜下に注入した.ICGは術中漿膜側から注入し,5~15分で緑色に染まったリンパ節および紫外線照射で蛍光発光したリンパ節をSNとした.SN摘出後は標準郭清を行い,摘出標本に紫外線照射し発光したリンパ節を検索した.結果: 早期癌に限ると同定率は蛍光ビーズ法のみで76%(19/25),併用法で92%(23/25),ICG法のみで60%(15/25)であった.平均SN個数はそれぞれ2.3個,3.1個,2.3個であった.同一リンパ節に両トレーサーを認めるリンパ節も7例あった.蛍光ビーズの分布は第1群リンパ節に限らず第2群にも認めた.結語: 早期胃癌症例で蛍光ビーズは色素と併用することでSN同定率を向上させることが可能であった.

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